沖縄のダイビングではボートを使用したさまざまなダイビングポイントがあります。世界でもズバ抜けた透明度を誇る「慶良間諸島」や地形で有名な「万座」、流れる地形を楽しめる「辺戸岬」などダイビング船をつかったエントリーをします。そこで知っておきたいのがボートの使い方ですよね。何回も潜っているダイバーさんはわかっているとは思いますがまだボート経験がない初心者ダイバー様に向けた「ボートSP」講習内容になります。
沖縄ダイビングライセンス フリースタイルの「ボートSPコース」では「ボートの使い方」、「救急用のファースト・エイド・キットやライフジャケットの場所の把握」、「ボートによってのエントリーの方法の違い」、「エキジットのやり方」などを学んでいきます。
船の使い方
ボートSPコースではまず乗船するボートの使い方を学んでいきます。
ボートの使い方は乗船するボートによって変わりますが大まかに一緒なのが以下の項目です。
・エントリー方法
・トイレの使い方
・ドライルームの使い方
・シャワーの使い方
・器材を置く場所
などなど。これは実際にボートに乗り経験してください。
「ファースト・エイド・キット」や「ライフジャケット」などの救急キットの場所の把握
いざというときに事前に救急で使用する「ファースト・エイド・キット」や「緊急用酸素ユニット」「ライフジャケット」など、どこにあるのかを知っておく事でなにかトラブルがあった場合に素早く対応できます。
初めて使用するボートの場合はどこになにがあるのかわかりませんので事前に船長さんやスタッフさんに聞いて把握しておきましょう。
ボートの種類によるエントリー方法の違い
ダイビングで利用する船はいろいろなタイプがあります。それは地域によって異なります。
沖縄では本島から1時間ぐらいかかる慶良間諸島エリアなどの場合は「ジャイアント」や「ヘッドファースト」を使用するプレジャボートタイプを主に使用します。
沖縄本島からそんなに離れないエリア、例えば「糸満ボート」、「万座ボート」、「青の洞窟ボート」、「水納島・瀬底島ボート」、「辺戸岬ボート」などの出航する港から数分で到着する場合は「バックロール」でエントリーします。
ジャイアントストライドエントリー
慶良間諸島などの沖縄本島から距離がある場合は大型のプレジャーボートでのエントリーします。ここでメインとなるのが「ジャイアントストライドエントリー」の方法です。
一見、ダイナミックなエントリースタイルに見えますが、基本的で簡単なエントリースキルの一つです。覚えておきましょう!
「ジャイアントストライドエントリー」の手順
①まずはエントリーする前に装備品をコンパクトにまとめる
エントリーする前にカメラ、レギュレータなどコンパクトにまとめておかないといざエントリーするときに引っかかってしまい事故の元、器材の故障の原因になります。よくありがちなのがオクトパスの引っかかりです。注意しましょう。
②BCに空気を入れる
エントリー後はいったん浮上をするため、あらかじめBCに空気をある程度入れておきます。
③マスクとレギュレーターをしっかり押さえる
実際に入る前に、片方の手でマスクとレギュレーターを抑える。片方の手でマスクの後ろのバンド部分を抑えてください。エントリーして浮上するまでしっかり押さえましょう。
エントリーするときにマスクとレギュレーターをしっかり押さえておかないと入った衝撃でマスク、レギュレーターが吹っ飛びますw
マスクが吹っ飛んでしまうとどっかにいってしまうので大変です。入ってそうそうパニックダイバーになる可能性もありますのでしっかり押さえることが重要です。
④準備ができたらボート後部にギリギリに立ち、足を大きく一歩踏み出だそう
ボートのヘリや後部のプラットホームに立って、どちらかの足を大きく踏み出すだけ。
怖がってしまい、おびえて入るとボートとの距離が短くなり下記のような事故が発生します。
怖がって入る
↓
ボートのヘリにタンクをぶつける
↓
タンクをぶつけた衝撃で自分の頭の後頭部あたりにタンクがやってくる
痛い思いをするので勇気をもって、力を抜いて、大きく一歩踏み出してみましょう。
※エントリーする前に下に「人かいないのか」の安全確認もわすれないように!
⑤エントリーしたらいったん浮上して安全確認
いったん浮上してバディー同士「大丈夫?」「大丈夫、大丈夫」など確認できたらエントリーしましょう。バディのうち一人が一気に潜降してしまうと「あれ?どこにいった?」と見失ってしまう場合があります。とくにダイビングする人数が多いければ多いほど見失ってしまう確率があがります
⑥準備ができたらゆっくり潜降
バディ同士、確認できたらお互いに潜降しましょう。フリー潜降でも良いし、潜降に不安な方はロープを使って潜降してください。
バックロールエントリー
「バックロールエントリー」はその名前の通り、後ろ向きからエントリーします。ヘリの小さい和船タイプのボートだとこちらのエントリー方法になります。
初めは怖いとおもいますが慣れてくるとすっごい楽です。こちらも覚えていきましょう。
「バックロールエントリーの手順」
①器材やカメラをコンパクトにまとめる
まずは「ジャイアントストライドエントリー」同じよう引っかからないように器材、カメラなどをコンパクトにまとめます。大きな一眼レフカメラなどお持ちの方は後から船長さんやガイドしてくれる方に入水してから受け取りましょう。
②BCに空気を入れる
エントリー後はいったん浮上をするためにあらかじめBCに空気をある程度入れておきます。
③マスクとレギュレーターをしっかり押さえる
実際に入る前に、片方の手でマスクとレギュレーターを抑える。片方の手でマスクの後ろのバンド部分を抑えてください。エントリーして浮上するまでしっかり押さえましょう。
エントリーするときにマスクとレギュレーターをしっかり押さえておかないと入った衝撃でマスク、レギュレーターが吹っ飛びますw
マスクが吹っ飛んでしまうとどっかにいってしまうので大変です。とくにバックエントリーでは後ろから入るので探しにくいです。入ってそうそうパニックダイバーになる可能性もありますのでしっかり押さえることが重要です。
④安全確認
たまーに今から入ろうとするときに真下に人がいる場合があります。ましてや後ろ向きで器材もつけている状態でマスクもしています。ので非常に後ろ下が見にくいです。自分でチェックするときは見づらいですが頑張って確認してください。近くに船長さんやガイドさんがいる場合は一声かけてみてもらってください。
⑤実際に後ろからエントリー
座った状態でエントリーします。おしりを「ずり、ずり、ずり」と後方にずらすと勝手に後ろからドボーン。ドボーンしたら勝手に浮いてくるので水面移動で潜降ロープにつかまるか、そのまま空気を抜いて潜降してください。
エントリーするときにくるっと一回転「ロール」してもよいのですが回転するために勢いをつけて後ろ向きにエントリーすると、 頭から直角、または斜めに入っていき、 マスクに水が入っきたり、レギュレーターにも水が入る(構造上その仕組みのタイプもある)ので いいことなしです。バックロールでは力を抜いてエントリー。これが一番の基本です。
ヘッドファーストエントリー
こちらのエントリーの方法は流れの速いポイントとなどのオールドリフトダイビングのスタイルでエントリーする方法です。主に大型のプレジャーボートの後方のヘリからエントリーします。流れが速いポイントで水面に漂っているとどんどんチームからはぐれてしまい、最悪、漂流ダイバーになってしまいます。頭から入ってすぐに潜降するエントリー方法です。
沖縄本島周辺では「トライアングル」「粟国 筆ん崎」「チービシ立柱」などのポイントで実際に使う技です。
「ヘッドファーストエントリーの手順」
①器材等はコンパクトに小さくまとめておきます。
ヘッドファーストでエントリーするのでできるだけ装備品はコンパクトに収納しておきましょう。ぶらぶらさせておくと非常に危険です。大きカメラをお持ちの方は自己管理で持っていきます。
②BCに空気はいれません。
「ジャイアントストライドエントリー」、「バックロールエントリー」みたいに空気を入れてしまうと水面に浮いてしまい、チームとはぐれてしまいます。のですぐに潜降したいので空気はいれません。事前に空気源のバルブが開いているか確認してください。
③一気に頭から入る。
前列に人がいてある程度沈んだ状態で衝突しないように確認ができたらマスク、レギュレーターを手でおさえて一気に頭から入ります。しっかりマスクを抑えておかないと吹っ飛びますので注意が必要です。あと体を水平にして、入ってしまうと水面に体をたたきつけられる感じになってしまいますので体をくるっと丸めた状態で頭からは入るのがポイントです。慣れている方は水しぶきをあまり立てずに「シュポン!」みたいな感じでエントリーします。
④潜降したら状況確認
ある程度、潜降したら周りの状況確認をしましょう。もしかしたらバディが水面でプカプカと漂っている可能性もあります。状況の確認をして対応しましょう。
※ヘッドファーストエントリは初めてやろうとすると失敗するので穏やかで、波があまりない、ドリフトダイビングではないダイビングポイントであらかじめ練習をしておきましょう!
エキジットのやり方
先ほどボートダイビングのエントリーのやり方を3種、見てもらったと思いますが「じゃあ、エキジットするときはどうなの?」と疑問に思う方、まだボートの経験が少ない方などわからない方がたくさんいると思います。ここでは簡単に、安全に、素早く、マナーの良いエキジット方法を紹介します。
①まずは状況把握
エキジットするときに状況を把握します。通常、階段を使いエキジットするのですがエキジットと同時にいきなり飛び込んでくる方もいらっしゃいます。階段付近では浮上しないで少しだけ距離を置いて浮上しましょう。ドリフトダイビングの場合はほぼ入れ違いはないのでそのまま階段をつかまっても大丈夫です。
②階段(ラダー)を使いフィンを脱ぐ
空いているスペースを見つけて階段をつかみます。片方の手でつかんだら空いてる手でフィンを脱ぎましょう。片方を脱いだら反対側のフィンを脱ぎます。フィンを脱いだら階段を上がっていきましょう。
③できるだけ奥のスペースに移動して器材を降ろす
階段を上がってすぐに重い器材を降ろしたい気持ちはわかりますが後方からエキジットするダイバーさんがいる場合は邪魔にならないようにできるだけ奥の空いているスペースで器材を降ろします。そうすることによりこれから上がってくるダイバーさんに感謝されます。
脱いだフィンなどは後からでも取りにいきましょう。
エキジットでよくあるトラブル
ボートダイビングでのエキジットでよくあるトラブル
①フィンが硬くて脱げない
足を保護するためにフィンソックスを履いてフルフットタイプの方がエキジットするときによく見ます。エキジットするときにサポートで脱がしてあげたりもしますがそれでもなかなか硬くて外れない方もいらっしゃいますw。そうするとどうなるか?「後方が詰まる」大ブーイングに。
ドリフトダイビングでチームが一斉にあがる場合などはすぐに脱げないと後方は詰まるし、波酔いもするし、荒れている場合はボートの下に頭が入ってしまい、大けがをすることも。
すぐ脱げれるように事前にお店の人に聞いたりして商品を選びましょう!結構、大切です。
②脱いだフィンを落としてしまう
欲張って2個いっぺんに脱ごうとすると手がすべり海に落ちていく可能性もあります。一度落としたら最後、回収しにいけないポイントもありますので注意が必要です。
先ほども記載しましたが片方の手で階段をつかんだら片方の空いてる手でフィンを脱ぎ、デッキにフィンを置き、置いたらもう片方も同じように脱ぎます。フィンを脱いだら勢いよく階段をあがります。
③できるだけ奥の階段をつかみエキジット
ドリフトダイビングで見られるのですがボートの種類によってはボートの側面についているガイドロープにつかまりながら階段に向かって移動してエキジットするボートもあります。階段が1個しかないボートの場合は仕方ないのですが階段が2個や3個、設置してあるボートの場合はできるだけ手前の階段ではなく、奥の方の階段が空いているなら、奥に移動してエキジットしてください。なぜかと言うと...例えば
階段が3個とも空いてる
↓
後ろにダイバーさんがいる
↓
一番手前の近い階段を利用してエキジットしようとする
↓
後方にいるダイバーさんがわざわざ大回りして真ん中の階段や外側の階段を利用
このような事態になってしまいますので奥に空いている階段があれば後方のダイバーさんの方のために手前の階段は開けておきましょう。
④エキジットしてボートが揺れる場合
うねりが強くボートがすごく揺れている場合はボートでは立って歩くのではなく、「四つん這い」になって移動しましょう。タンクの重さがありますのでふらふらと倒れてしまう可能があります。倒れた先に人が座っている場合におもいっきりぶつけてしまうので注意が必要です。次に上がってくるダイバーさんのためにもできるだけ奥の方に「四つん這い」になって移動しましょう。そしてタンクを横にして安定させましょう。
なにげにボートSPは「ただボートを使ってエントリーするだけじゃないの?」と思われがちですがボートスペシャルティコースでは安全にボートダイビングするにあたりたくさん覚えることがあります。意外と知らないことがあるかも!
【参加条件】
PADIオープン・ウォーター・ダイバー 以上 またはPADIジュニア・オープン・ウォーター・ダイバー以上で、10歳以上
【講習内容】
レクチャー&海洋実習2ダイブ
【認定ダイブ本数】
2ダイブ
【料金】
●希望のファンダイビング料金
●申請代として+6500円
【開催条件】
ボートから